2014-01-01から1年間の記事一覧

ひとしずく。その64

武力闘争の続くウクライナ上空を飛行中の民間機が撃墜された。お決まりの責任擦り合いは人間の常。マレーシア機は、今年二度目の大災難だ。 僕は昭和41年を思い起こした。その年の日本も、空の事故また事故だった。全日空機が東京湾に墜落して133人全員…

ひとしずく。その63

全国知事会議が「少子化非常事態宣言」を発した。曰く「日本全体が衰退に向かうシナリオが整いつつある。今こそ国と地方は、総力を挙げこの問題に取り組む時だ」と。 成るほど日本全国見渡して見るに、壊れかかった町の数は「夕張とそれから…」などと悠長に…

ひとしずく。その62

昭和17年、僕は東京・大田区小林町(現蓮沼)の産婆さんによって、この世に導かれた。導いて頂けたのは有難かったが、生を得た世は、地球丸ごと殺し合いの最中だった。 日本国は前年の12月8日から、やってはいけない戦争に突っ込んでいて、事情を知らされて…

ひとしずく。その61

モノに取り憑いてモノを台無しにするモノ数多く、例えば、身にピロリ、家に白アリ、老いにオレオレ、弱きにパワハラ、強者に増長、総理にゴマスリ…。己が理不尽を正当化したくて、記者らを前に赤子のように泣き叫ぶ人を議員に選んだのも人間だし、まあ、人間…

ひとしずく。その60

〝戦争坊っちゃん〟は、いつでもタカタカ走ってる。 「坊ちゃん、坊ちゃん、どこ行くの?」 「これから鬼の征伐に」 「お腰に下げたアメ玉を、一つわたしに下さいな」 「上げましょう、上げましょう。一緒に鬼の征伐に、ついて来るなら上げましょう」 「行き…

ひとしずく。その59

僕はスポーツを観るのが好きだ。昔はプロ野球や高校野球、大相撲などによく足を運んだ。残念ながら、帰路揚々とはならなかったが。大抵の場合、応援対象が敗れたからね。そりゃまあ、巨人やPL学園や大鵬なんか応援しなかったのだから、観戦勝率一割程度は…

ひとしずく。その58

表玄関に「肉食夜行性オオカミ」の餌場を作るような話が、国会内に持ち上がっている。いえね、譬えが悪くて解りづらかったかも知れないが、カジノを解禁しようという話ですよ。安倍政権が成長戦略の素案に上げたものだから、喜び勇んだ御歴々、早速法案の審…

ひとしずく。その57

環境大臣が上から目線で弱者に唾するような発言をしたり、都議会議員が議会で無節操放言を飛ばしたり、「どこが美しい国なの?」って感じね。弱者を嘲り倒すなんて、一部の金持ち坊ちゃんだけがやることですよ。小さな旅から戻って、「さて、今日は何を書く…

ひとしずく。その56

日本の若者は「自分に自信がなく、将来に希望が持てない」という人が多いのだそうだ。政府が先ごろ閣議決定した『子ども・若者白書』による。 調査は、日、韓、米、英、独、仏とスウェーデン七カ国の13〜29歳男女を対象に実施。それによると、「自分自身…

ひとしずく。その55

山本夏彦は生前、「人が神になった」と嘆いていた。曰く、赤ん坊は計画的に産むと言うし、天空の月に行くと言うし、天気を左右して雨を自在に降らせると言う。「以前神々にしか出来なかったことを、平気でやり出した」─と。そして、「近く人類にバチが当たる…

ひとしずく。その54

4Kの試験放送が始まった。4Kとは、きめ細かい高画質映像が見られるテレビ放送のこと。政府は、これをIT戦略に盛り込んで後押ししている。新藤総務相は「2020年の東京五輪には、迫真迫力の映像を楽しんでいただけるよう実現を期したい」とハシャイ…

ひとしずく。その53

心の病の名称や用語について、日本精神神経学会が新しい指針を作って公表した。幾つかを挙げるなら、「アルコール依存症」は「アルコール使用障害」に、「性同一性障害」は「性別違和」に、「神経性無食欲症(拒絶症)」は「神経性やせ症」に─といった塩梅。…

ひとしずく。その52

七十歳を超えたあたりから、最終章の過ごし方を考えるようになった。自分で自分のことが出来なくなったら、つまり、一人では散歩も無理、風呂も無理みたいなことになったら、妻には「施設に入れてくれ」と言っている。 だが、この施設というやつが厄介だ。現…

ひとしずく。その51

これまでは、何かと言えば「9条、9条」で、まったく鬱陶しかったけど、どうやら安倍さんのおかげで、やっと「戦争が出来る国」になれそうです。あと一息ですよね。 いや、お見事。安倍さんの演出力は巧みでした。「こっちのドアはいつでも開けてあります」…

ひとしずく。その50

知ってます? 日本人間ドック学会と健康保険組合連合会(健保連)の二団体が調査・発表した血圧に関する健康値を。従来の基準値では、『上が130以上、下が85以上』は何らかの治療を必要とする高血圧患者さん。これが『上は147以上、下は94以上』で…

ひとしずく。その49

昔は粗末なものを綺麗に着ていた。今は高価なものを粗末に着ている。…と書き出したのは、官房長官の会見の模様を今し方テレビで見たからだ。 今年も五月一日からクールビズに入った。よって官房長官は節電の範を垂らさんと、五月一日以降、暑くない日でも、…

ひとしずく。その48

今年のゴールデンウイークは、祝日の繋がりが良くないせいで遠出が敬遠され「安近短」が主流のようだ。成程近くのアウトレットを覗いたら、いやはや人がおるおる、蟻ンコの巣穴に迷い込んだみたいで気持ち悪い。でもそれを言うなら、自分だって蟻ンコの中の…

ひとしずく。その47

『ああ玉杯』は第一高等学校の寮歌である。『都ぞ弥生』は北大の寮歌である。両歌の作詞・作曲とも当時の学生によるものだ。僕らの世代者は、例えば僕のように戯れにも東大の門さえ潜ったことのない人間であっても、『ああ玉杯』他、多くの寮歌や校歌をヘロ…

ひとしずく。その46

僕がまだ20代の頃、会話をしたこともない人事部長から「ねこちゃん」と呼ばれ、ビックリすると同時に臍下丹田ゾゾゾ〜ッとしたことを、半世紀近く過ぎた今でもハッキリ憶えている。「ねこちゃん」は社での愛称だったから、そう呼ばれて不思議はないのだが…

ひとしずく。その45

春からは那須滞在が多い。そこには置き電話がない。インターネットも引いていない。テレビはあるけど、BS・CSはない。新聞もない。唯一ケイタイはあるが、僕のケイタイ番号を知る者は家族含めて極めて少人数で、彼らはまた、余程の事がない限り着信音を…

ひとしずく。その44

「名を名乗れ!」と言われて「赤胴鈴之助だ!」と答えるのは、鈴之助にヤマシイところが無いからだろう。後ろめたいものがある人が名を名乗りたがらないのは、犯罪者が護送される際、頭からジャンパーなんかをスッポリ被っているのを見ても分かる。今更恥入…

ひとしずく。その43

日本とロシアの共同研究チームが「宇宙空間でも、水を与えれば蘇生する昆虫の確認が出来た」と、ド豪いことを発表しおった。その昆虫名「ネムリユスリカ」とか言う奴で、カラカラに乾燥させても死なないんだとか。 この幼虫百匹ほどを乾燥状態にして国際宇宙…

ひとしずく。番外編

大相撲の立行司、第十九代式守伊之助は「ひげの伊之助」の愛称で人気があった。小さくて顎髭豊かで、親しみのもてる風貌だったからだろう。その人についてコラムニストの中野翠さんが、色川武大さんの筆から引いた面白い話を書いている。 それは僕が中学三年…

ひとしずく。その42

三回目の3.11がやって来た。幼児だった頃の眼で見た戦争を別にすれば、これまでの僕は、9.11こそ「自身で見た最悪の人災」だと思っていた。しかし3.11は、天災としての地震を切り離すと、残る部分は9.11に勝るとも劣らない人災となってしまった。 三年前の今…

ひとしずく。その41

以前、東京千代田区の中学校に招かれ、全校生を前に『感動ょしよう!』というテーマの講演をしたことがある。「中学生諸君、心して感動しよう。花の香り、鳥のさえずり、流れる雲、打ち寄せる波。そのことごとくに感動のタネは宿っている。感動をしっかりと…

ひとしずく。その40

アインシュタインが来日した際にしたためた手紙などが公開された─との新聞報道。それによると、彼は日本の印象をこう書いている。「家族の絆は欧米に比して遥かに緊密である。生活に施された芸術的造形、個人的な欲の抑制と質素。日本人の心の純粋と平穏を守…

ひとしずく。その39

「テレビもケイタイも無かったらどうする?」と僕の娘に訊いたら、「ドラマが見られないのと、待ち合わせのとき『トイレに寄るからちょっと遅れる』みたいな連絡が出来ないのはちょっと不便かな。でも、わたしは元々アナログ人間だからね」と、この種の利器…

ひとしずく。その38

小学五〜六年同窓のクラス会の幹事の端くれに名を連ねた。遡ること半世紀、昭和28年4月から30年3月までという時代。その期間は僕たちにとって、70余年の中の僅か2年間でしかない。だが紐解くと、その2年間が侮れない。交々話題のるつぼであった。 例え…

ひとしずく。その37

最近「ペロリ菌」というのが流行っているらしい。この病気「自己絶対主義的傾向に陥り、重症化すると国をも危うくする」─とかって、恐っ。 最近の発症者は、籾井さん、百田さん、長谷川さん、本田内閣官房参与、衛藤首相補佐官、森元総理…などなど。皆さん思…

ひとしずく。その36

二年に一度の五輪のたび、僕が不快に思うことがある。それは新聞やテレビの戦前に流す記事や番組。「彼は絶好調で金にまっしぐら」とか「彼女の金は確定的」とか、何一つ責任を負わない連中が、ヘロヘロ言って退ける。 スキー・ジャンプ団体戦の前は特に酷か…