ひとしずく。その40

 アインシュタインが来日した際にしたためた手紙などが公開された─との新聞報道。それによると、彼は日本の印象をこう書いている。「家族の絆は欧米に比して遥かに緊密である。生活に施された芸術的造形、個人的な欲の抑制と質素。日本人の心の純粋と平穏を守り続けることを忘れないで欲しい」と。
 でも博士、ゴメンナサイ! 忘れちゃったの。
 少なくとも三丁目の夕日が見られた辺りまでは、博士が仰る通りの日本が、まだそこここに残っていたですよ。でもあの夕陽は、軽慮浅謀の陰へと沈んでしまった。中国が日本の三倍の軍事費を用意したように、日本もまた、猛き人らが密なる絆を破りにかかる。はて? あの人なんか、何のために公共放送の会長さんになったのでしょう? 誰がその座に据えたのでしょう? 「盛者必衰の理」は生きているのでしょうか? あんなこと、こんなことが、平家よろしく「ただ春の夜の夢の如し」で終わるのでしょうか? ええ、夢ならば早いとこ醒めてくれないと、僕、もう古希を超えているから間に合わなくなっちゃうんですけど…。ダメかなあァ。
 そこで今日のひとしずく
『こんなことになるくらいなら、あの時こうしておけば良かった─と人はよく言うけれど、つぎの選挙も、また後悔するんだろうなあ』