2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『学校給食』

『学校給食』 東京を含む八大都市で小学児童を対象とする完全給食が実施されたのは、昭和二十五年七月。全国にまで拡大されたのは二十七年四月から。「コッペパンに脱脂粉乳、おかずとしては鯨肉」というのが、当初のぼくたちの定番だった。 脱脂粉乳が飲め…

『あやとり』

『あやとり』 毛糸や紐を輪にして両手に掛け、指を入れたり外したり…。一人でも二人でも遊べるあやとり。青森では「とりあげ」、三重では「しずとり」、関西では「いととり」、和歌山や鹿児島では「いとかけ」と言うそうだ。 「平安時代から伝わる遊び」と聞…

『君の名は』

『君の名は』 「忘却とは忘れ去ることなり。忘れえずして忘却を誓う心の悲しさよ」 小学生には難解なナレーションだったが、番組の凄さは知っている。これが始まると、壁一つ隔てた女湯が妙に静まり返ったものだ。 空襲の夜、後宮春樹と氏家真知子は数寄屋橋…

『BCG』

『BCG』 長い間、ぼくは注射に対して「肉体に鉄の管を突き射す野蛮極まるもの」という敵意を抱いていた。注射のたびに泣き出す子がクラスにいて、そういう子を笑うことで、ぼく自身に襲いかかる恐怖を何とか凌いでいたのである。 その注射恐怖派にとって…

『火の用心』

『火の用心』 「戸締り用心! 火の用心! マッチ一本火事のもと!」カッチ! カッチ! 午後七時には商店の明かりも消え、闇に響く子どもたちの声。正月を前にした冬休み、ぼくたち子ども会も火の用心の夜回りをした。徒党を組むと気分が膨らむ。カッチカッチ…

『ままごと』

『ままごと』 ままごととは、いわゆる「飯(まま)事」だから、台所を預かるお母さんを中心に置いた遊び。陽だまりの庭にゴザを敷き、大抵はお母さん役の子があれこれと仕切っていた。今なら、イクメン役の男の子が仕切ってもよいかも…。 過日、郷愁譚を書く…