『ままごと』

『ままごと』
 ままごととは、いわゆる「飯(まま)事」だから、台所を預かるお母さんを中心に置いた遊び。陽だまりの庭にゴザを敷き、大抵はお母さん役の子があれこれと仕切っていた。今なら、イクメン役の男の子が仕切ってもよいかも…。
 過日、郷愁譚を書くにあたって古い日記をめくっていたら、ギョッとする記述が見つかった。昭和35年、高校三年時の日記だ。
『道でAさんに会った。会ったと言うのは、すれ違っただけ。彼女は小学校の同級生で、中学は彼女が私立に進んだため会う機会を無くしていた。そうなると小学校四年の時、彼女の家の庭先で、無理やりままごとをさせられた頃のことが懐かしく…(以下略・原文のまま)』とある。
 たった二人きりでのままごと遊びに付き合わされたことは覚えているが、一〜二年の頃と思っていた。まさか四年とは…。遊びに多様性があったと考えることにしたい。
 ままごとで面白いのは、母親役が自分の母親の口調を真似ること。その子の家庭が丸見えになる。「あなた、いつになったら課長さんになれるの?」なんて、親が赤面するようなことをポンポン言うから可笑しい。