ひとしずく。その36

 二年に一度の五輪のたび、僕が不快に思うことがある。それは新聞やテレビの戦前に流す記事や番組。「彼は絶好調で金にまっしぐら」とか「彼女の金は確定的」とか、何一つ責任を負わない連中が、ヘロヘロ言って退ける。
 スキー・ジャンプ団体戦の前は特に酷かった。葛西選手の努力の「個人銀」にマスコミどもは舞い上がり「日の丸飛行隊の再来だ!」ぐらいのことを平気で言いよる。それを読んだり聞いたりした人たちは、「ダメでも銀」だと思ったりする。だから、結果の「銅」を複雑に受け取る。
 その裏には難病があった。ケガがあった。絶不調があった。年齢の壁があった。だからこそ葛西選手は、最高の銅に涙を流したのだ。僕は、この四人や二人のサラさんたちが、耐えて戦ったことに涙した。
 今晩は真央さんが演技をする。声援は送るが期待はしない。自分の思い一つの中で演技して欲しい。結果は、ただの事実に過ぎない。
 そこで今日のひとしずく
『宝くじも八卦も、まず当たらないことをマスコミは知らない』