ひとしずく。その58

 表玄関に「肉食夜行性オオカミ」の餌場を作るような話が、国会内に持ち上がっている。いえね、譬えが悪くて解りづらかったかも知れないが、カジノを解禁しようという話ですよ。安倍政権が成長戦略の素案に上げたものだから、喜び勇んだ御歴々、早速法案の審議に入り、今国会から次期国会へと引き継がれたんですと。そのことに僕、眉根を寄せているんです。カジノ解禁論者の推進理由は「観光振興」─只それだけなんだもの。
 なれば対抗上、僕が反対理由を挙げちゃいましょう。①僕らの周りにも、ギャンブル依存症に陥った人が幾人となく居るんです。パチンコごときでこの始末。カジノはギャンブル依存症を更に増やすことになる。再起への経済コストが社会全体にズシンと覆い被さるんですぜえ。②昔の日活映画みたいなギャンブラーが蠢き出すのも困りもの。治安への悪影響。青少年のポンコツ化。それを考えてもカジノなんぞ「要らん、要らん」。③ギャンブル依存症が公人となると、こりゃ家庭の崩壊どころじゃない。国会議員の浜幸や、ティシュ大手のバカ殿がラスベガス狂いした結果を見たって分かるでしょう。④カジノの解禁は行政の監督権を必要とする。そうなれば、大した利権が発生し、とんでもない天下りの温床が出現する。
 先日、朝日の社説がバカなことを書いていた。カジノ反対理由として「海外旅行客の増加が著しいアジア各地にもすでにカジノがあり、競争に勝つのは容易ではない。民間運営が想定されているがノウハウがなく、外国業者に頼らざるを得ない。儲けはもっぱら海外へ、という可能性も少なくない」─と。何を寝ぼけたこと言ってんの。そういう話じゃないでしょう。つまらん反対論なら要らん、要らん。
 カネのためなら何でもやる。国民の代表たちの酷い発想が、民意を蹴飛ばしのさばり歩く。嗚呼…。
 そこで今日のひとしずく
『為政者は、他人の不幸の上に自分の幸福を乗せたがる』