2014-01-01から1年間の記事一覧

ひとしずく。その35

大雪が明けた公園を見て少々驚いた。雪だるまが無いばかりか、子どもたちの足跡一つ無い。はて嘆かわしや、ここまでとは! 僕たちが子どもの頃は、雪と見ればポチみたいにハシャギ回った。雪が無くても、寒かろうが暑かろうが、野人の如くに駆け巡った。女の…

ひとしずく。その34

先日、デジカメとケイタイを拾った。妻は運転免許証を拾った。デジカメとケイタイは交番に届け、免許証は僕も一緒になって保持者の自宅を探し当て、直接本人に届けた。 それより先、やはり自宅周辺でむっくりした財布を拾った。中には現金17万円とデパートの…

ひとしずく。その33

早朝の散歩時から降り出した雪は、今も舞っている。東京大田区「矢口の渡」付近で少年期を過ごした僕は、その大半を野球に明け暮れた。その時の仲間が集まって、六十年前の珍事万事を笑い合おうという会合が今晩予定されていたが、この雪で延期となった。だ…

ひとしずく。その32

僕らの仲人さんが亡くなり、そのお別れ会に出た。小さなホールの中央に故人が素顔で横たわり、坊さんも、お経も、線香も、蝋燭も無く、僕が遺言として書き残してある「エンディングのやり方」そのまま。「やっぱりこれだよ」と、僕は改めて思ったですな。そ…

ひとしずく。その31

僕の手帳には絶えず数枚のテレカが挟んである。毎年手帳を更新するたびに、テレカは新年の手帳に移るわけで、かれこれ干支をひと回りした気がする。使わないのに捨て切れないテレカ。 公衆電話はその昔、10円で無制限だった。10円で3分打ち切りとなったのは1…

ひとしずく。その30

誰にでも好き嫌いはある。それが食べ物であっても、人物であっても、その他何事であっても。 僕の場合、好きなものは多過ぎて書きようがないけれど、嫌いなものなら、それほど無いからスラスラ書ける。食べ物だと、味の濃い佃煮、肉の脂身、トリの足、甘いも…

ひとしずく。その29

僕は、子どもの頃から漫画がそれほど好きではなかった。息吹を感じない無機化合物のようなものも好きではなかった。だから、友だちが熱を挙げる『鉄腕アトム』なんか見る気もしなかった。長じてテレビ界に入り、手塚治虫さんとは毎週一度、対一で付き合う仕…

ひとしずく。その28

小学六年時のクラス会を、僕たちは飽きもせず毎年やっていた。それが昨年途切れた。永久幹事を買ってくれていた奇特な御仁が、急逝してしまったんですな。これで今年72歳となるジジババは霧散し「再会の場は冥土だろう」と思っていたら、いやはや、道の霜…

ひとしずく。その27

今朝の散歩は、うっすら積もった雪の中。見上げれば居待月あたりだろうか、煌々の明るいお盆が浮かんでいたです。七十男の脳裏に浮かぶのは〈月+雪=酒〉という図式。だからランチは妻を誘い、しゃぶしゃぶで一杯やって来たですよ。 …で、いま帰宅して考え…

ひとしずく。その26

日の出午前6時50分。一番遅かった時間から2分早まった。毎朝5時半からの散歩は星の中だったが、あと10日もすれば、帰宅時には朝焼けの兆しを感じることになりますなあ。暁は荘厳ですよ。電気の無い時代、太陽を神と仰いだ昔人の気持ちが、無宗教ぶる…

ひとしずく。その25

きのう、人形浄瑠璃を観に行った。近松作品『こもち山姥』を下敷きにした創作三部作。足柄山の怪童丸が坂田金時に成長するまでを描く。「足柄山の段」を中学生、「下鴨神社の段」を高校生、「金時誕生の段」を相模人形芝居下中座が演じるという興味深い構成…

ひとしずく。その24

毎年、松が明けると机上を整理する。筆、硯、顔彩、印泥などを片づけ、頂いた年賀状や古い日記帳などを仕舞う。 賀状を仕舞いがてら見直したら、面白い傾向が浮かび上がった。宛名書きは別にして、一語の肉筆も添えられていないものが24%あり、そのほとんど…

ひとしずく。その23

新年の電車に乗ったら、車内はどこもピコピコだらけ。連れ立っていると思われる若者たちでも、それぞれが、小さな画面での遠隔会話に没頭している。僕のブログについてわが娘が「もっと明るいことを書け」と言って来たけど、新年からこんな光景を見せられた…

ひとしずく。その22

この10日間程、神さまたちから距離を置いた生活でしたなあ。キリストさまのときは、ケーキも七面鳥も食べず妻と静かに酒を飲み、大つもごりでは仏さまの梵鐘も撞かず其の音も聴かずに、勿論勝った負けたの馬鹿騒ぎも観ず妻と静かに酒を飲み、明けて今朝は…