ひとしずく。その23

 新年の電車に乗ったら、車内はどこもピコピコだらけ。連れ立っていると思われる若者たちでも、それぞれが、小さな画面での遠隔会話に没頭している。僕のブログについてわが娘が「もっと明るいことを書け」と言って来たけど、新年からこんな光景を見せられたのでは、脳内が黒ずんで明るい話題なんか出て来やしない。
 文科省が昨年行った全国体力調査では、「週の運動量がゼロ」と答えた中学二年女子の割合が24%だったそうな。では「運動するようになる条件は?」と問うたところ、54%の生徒が「友だちと一緒なら」と答えたそうだ。それなのに、その友だちと只一緒に居るだけで、ピコピコやっているだけじゃねえ。
 大体があのピコピコ、無言なのにどこかの誰かと繋がっているなんて、薄気味悪いと思うのは僕だけだろうか? 友人たちとの楽しい直接会話なら「さよなら」のあとも「フフ…」と笑える余韻が残って、その友情に使った時間が生きる。指だけの会話はオフと同時に孤独に堕ち、費やした時間が死んで消える。
 そこで今日のひとしずく
『人生は充分に長い。笑い合える友が居る限りにおいて』