ひとしずく。その33

 早朝の散歩時から降り出した雪は、今も舞っている。東京大田区「矢口の渡」付近で少年期を過ごした僕は、その大半を野球に明け暮れた。その時の仲間が集まって、六十年前の珍事万事を笑い合おうという会合が今晩予定されていたが、この雪で延期となった。だけど、雪に文句は言えない。降るものは降る。自然の摂理なのだから。
 いや、文句を言いたいのは「自然」の方かも知れない。自然を我がものと思い、摂理をねじり曲げ、好き勝手に振る舞った結果としての温暖化やら、大気汚染やら、スギ花粉症やら。この地球には、分かっているだけで175万種の生物が命を繋いでいるそうだが、その地球に対して「我がもの行為」を繰り返しているのは只一種。弱りましたな。
 お出掛けの方々には申し訳ないが、僕は、庭に雪の白く積りゆくさまを、「あらまあ」とか「おや、もうこんなに…」とか言いながら、今日一日を、こんなことでじたばたしなかった清少納言さんみたいな心境で過ごそうと思っております。あしからず。
 そこで今日のひとしずく
『自然は横綱、天下国家はフンドシ担ぎ』