ひとしずく。その28

 小学六年時のクラス会を、僕たちは飽きもせず毎年やっていた。それが昨年途切れた。永久幹事を買ってくれていた奇特な御仁が、急逝してしまったんですな。これで今年72歳となるジジババは霧散し「再会の場は冥土だろう」と思っていたら、いやはや、道の霜はひと足ごとに消えるものなのに、このクラスのジジババの執念と来たら…。
 そんなわけで、一年のブランクを経てクラス会の復活が決まる。天国の永久幹事に代わって「蝋燭の灯し役人」となったのが僕。斯く人事を先頭立って推したというよりゴリ押したのが大阪の男。この男、全回精勤、毎年新幹線ですっ飛んで来る。桜の頃のある一日を、今僕は整えるべく準備を始める。
 そこで今日のひとしずく
『老人は過去の自分に会いたがる』