2013-01-01から1年間の記事一覧

雪の想い出

那須のこの日の空は鉛色。ナルニア国の白い魔女が潜んでいそうな寒気である。「また雪が来るみたい」と妻が呟いた。 雪。一面の銀世界に幻想的美しさを感じないと言えば嘘だけど、北海道の吹雪は陰惨だ。小さな娘を抱くようにして力尽きた父。小さな命の灯は…

大宅壮一オチンチン事件

都会の空は小さいし、中国ほどではないにしろ鮮度にも欠ける。その点、那須の空は大きいし、抜けるような青さがある。その青いキャンバスに、いま飛行機が白い絵筆を走らせている。青地に白い一本の線。たったそれだけなのに、飛行機雲というやつは下手な絵…

ドジリを笑う 

「山に弱い牧童犬」と診断された不思議な犬のフレンディを、山に連れ込むわけにもいかない。仕方なく那須滞在の際は、ヤツをペットホテルに預けている。だけど、その「預ける」という行為は難儀だ。ヤツはその都度、僕に恥をかかせおる。まずはこんな具合。 …

すし三昧

寿司が食べたくなると18キロほど車で走って、黒磯駅近くの店に行く。そこがこの辺りでは、僕と妻の口に一番合う。きょうも二人で出掛けた。 結婚前、僕は中野区野方のマンションに居た。近くに旨い寿司屋があったからだ。夫婦二人で営むカウンター5席のち…

山に弱い牧童犬だと?

散歩中の同居犬(愛犬とも愚犬とも断定できない犬のフレンディ)が、突然与太り出した。リードを引いても動かない。町に売られるのを拒んでいるベコみたい。 さあ大変と飛び込んだ那須のお医者様は、検査の限りを尽くしてくれた。待つこと一時間半で結果の発…

脳味噌の素

わが家の庭に、ときどきイナゴらしき客が来る。形態、色合いからして、懐かしのイナゴに違いない。 客はいつでも独りで来る。どこで生まれ、いつ親と離れ、どうやってここまで来たのか? そして、どこへ行く気の途中なのか? 兄頼朝に追われた義経でさえ、弁…