ナナカマドの仲間たち 最終回

23.ナナカマドの仲間たち

 太洋と再会したあの日からきっかり二カ月後の10月16日。わたしたちはとんぼ沼のほとりに集結した。
 里江は、北海道の女満別空港から仙台空港経由でやって来た。「何よ、その荷物! まるで地球の裏まで行くみたい!」と光子が叫んだほど、大きなトランクを転がして来た。
「重かったーっ」と開けたトランクからは、オホーツクのカニカレーだの、エゾシカ肉のカンヅメなど、おみやげ品がぎっしりだった。「だって、ハッカケ先生や太洋さんとは六十年ぶりだもの、手ぶらじゃ来られないじゃない」というわけだ。わたしらの分まで、ありがたいことだった。
 信之は、鈍行を乗り継ぎながら「鉄道をね、『移動手段』から『豊かな旅の提供者』に換えてやったぞ」と、ご満悦でやって来た。
 ご高齢の恩師ハッカケ先生は、武の迎えの車でやって来た。「アインシュタインの理論にほころびが生まれようと、STAP細胞がSTOP細胞になろうと、わたしは元気さ」と妙なことを口走りながら、満面の笑みで車から降りられた。
 太洋はむかし通りの顔で、「やあ」と約束通りに現れた。杖もなく、不自由を不自由とも思わせない足どりで─。
 源治は、源治らしくない堅い顔で太洋を迎えた。太洋は、伏し目がちな源治の右手を強く握り、左の手では源治の肩をポンポンとたたいた。儀式としてはこれだけ。たったそれだけで、二人はむかしの二人に戻れた。
 わたしたちは、歳月を重ねて大木となったナナカマドを囲んだ。八月にはなかった真っ赤な実が、たわわに、あざやかに、枝葉全体をおおっている。
「常男の木、すごいじゃないか」
「見ているのよね、沼の中から」
「見てるわよ、あの子。ナナカマドも、七つの星たちもね」
 そのナナカマドから左へ三メートル。
「この辺りだよな」
「そうそう。間違いない」
 武と源治が、見当をつけた辺りにスコップをあてた。
「じゃあ、行くかい?」
「はいよ」
 二つのスコップが働き出した。
 六十年の間、雨風に固められた土が少しずつ削られてゆく。まだあるかどうかも分からない宝さがし。場所も定かではない。「この辺り」と思ったところから、二人は少しずつ掘り広めている。
「じゃまだなあ、この細い根。これ、ナナカマドかい?」
「かも知れん。おれたちの宝を守ろうとして伸ばしたのかもな」
「ありゃ。そういうことなら、じゃまだなんて言えねえなあ」
「そうそう。感謝しながら切るとかしてよ」
 ひたいに汗が浮き出したころ、源治のスコップが止まった。
「何かある」
「何が?」
「何かが」
 源治はスコップを置き、手で泥を掃き始めた。武もスコップを置いて見守る。
「ほら、これ。丸いだろう?」
「どれどれ」と武も手を参加させる。
「うん、あれっぽいなあ」
「だろう。コレがアレなら、貴重なお宝だから慎重に行こう」
「そうだな」
 二人は、園芸用の小さなスコップに持ち替えた。
「壺に当てないようにやろうな」
「おう、了解」
 少しずつ、周りの土を取り除いてゆく。作業の慎重さといったら、古代土器の発掘現場を見るようだ。
 壺の全体があらわになった。
「やっぱりこれだな」
「まちがいない」
 まさしく消し壺。
「そっちからも、壺の下に手を入れてくれ。そうそう。じゃ行くよ。持ち上げるよ」
「よっしゃ」
「そら。そろ〜り、そろ〜りだ」
 二人は新生児でも扱うように〝六十年の時空を超えた夢のタネ〟を、そ〜っと穴から取り出した。壺をおおっていたビニールは、まったく原形をとどめていない。
 周りを囲むわたしたちの胸が高鳴る。
 さあ、感動の一瞬だ。
 源治が、ふたのつまみに手をかけた。
「開けるよ」
「うん」
 それをつまんで持ち上げようとした瞬間、ふたより先に、壺そのものがバラバラとくずれた。
「まあ、えらかったこと! この壺、ここまでがんばって、ようやく役目を終えたと思ったのよね」
 里江の言葉が、妙にリアルなものに聴こえた。
 くずれたかけらの中央に、盛り上がった部分がある。かけらをどけると…。
「あった! …でもこの束、ぐちゃぐちゃだなあ。読めるだろうか?」
「とにかく、そいつを持って第二会場に移動しようや」
「そうね」
 ハッカケ先生が笑いながら言った。
「悠久を、超えてときめくものありや、夢は始めも終りもよろし」
 わたしたちは、時空を超えた宝ものを後生大事に、光子たちがセットした宴会場へと運び込んだ。

 第二会場となった宴席で、カンパイの音頭をとったのは、言うまでもなくハッカケ先生だ。
「終わってしまったように見えるものにも、新たな始まりを感じることがありましゅ。例えばね、枯れ葉を散らした秋の木でも、よく見ると、もう新しい芽を蓄えている。わしは見せてもらったでしゅなあ。年輪重ねたきみらの中にも、これがまた、えらく大きな新芽の宿りがあったんだ。この芽もまた、臼田常男くんのナナカマドみたいに大きく育って、見事な花を咲かせるでしょうな。八本の枝に無限の花だ。めでたいじゃないか。さあ、行きましゅぞ。〝きみらのクラス〟という名の大きな木に! 八本の枝と、それを彩る無数の花に! ナナカマドの仲間たちに! カンパ〜イ!」
「カンパ〜イ!」
 わたしたちは、声高らかに唱和した。
 このあと、いよいよ少年時代のとびらを開けた。十六枚の束を手にする。
「うん、やっぱりぐちゃぐちゃで読めないなあ」と、腐ったビニール包装を取り除き、数枚のワラ半紙を開いた武が、がっかりした顔で言った。
「文字そのものも消えちゃってる。三十年のときに掘り返すべきだったなあ」
 武から手紙の束を受け取った信之が、残る数枚の重なりを、名残惜しげに一枚一枚はがして行く。
「何だこれ。ずいぶん汚れがひどいなあ。…何だろう? だれか絵を描いた人、おらんかい?」
「絵かあ? …もしかして、あたし描いたかもよ。何か、ぼんやりそんな記憶が残っているわねえ」
「里ちゃんなら、可能性あるわよ。でも、そうだったら残念だなあ。山村里江画伯の少女時代の絵ですもの、状態が良かったらお宝発掘だったのにね」
「うん、里っぺの原点だからなあ」
 そう言いながら、信之がつぎの一枚もはがす。
「おっ」
「どうした?」
「これ、読めるぞ。ほら、この二枚。紙が違うなあ。だれのだろう?」
「あっ、それ常ちゃんよ。確かあの子、わたしたちとはちがう紙に書いて来た記憶があるもの。ねえ光っちゃん、憶えてない?」
「そうか! 和紙だったなあ。そうそう、高級和紙よ。細川和紙とか言った気がする」
「細川和紙だったら、うん、間もなく無形文化遺産としてユネスコに登録されるだろうって言われているやつだぞ。ふ〜ん、六十年経っても、常男はやっぱり常男だなあ」
 そう言いながら信之はメガネをかけ替えた。
「声出して読んでみてくれよ」
「では、常男に成り変わって、うん」
 三十年後の自分を含めたみんなに向けての常男の手紙を、信之が、少しおどけ気味に読み始めた。信之がそう思ったように、わたしたちも笑って聞けるものだと思っていた。でも、それはちがった。信之は、途中から読む姿勢を改めたし、聴くわたしたちも途中から、聴く姿勢を改めざるを得なかった。
『ぼくの夢はケーキ屋さん。みんなにはそう言ったけど、ほんとうは警察官になることなんだ。悪いやつらをとっちめて、弱い人を救う仕事。正しい人が安心して過ごせるようにがんばる仕事。でも、それを言っても、みんなは笑うだけだと思う。それだったらって考えて、ぼくは『ケーキ屋さんになる』と言ったんだ。どうせ笑われるんなら、そっちの方がぼくには似合っているだろうからね。
 三十年後、この手紙を読むころには、ぼくは立派な警察官になっていると思う。社会の悪と、ぼくは真剣に闘っていると思う。おぼれる人も助けていると思う。今は泳げないけど、お風呂で毎日もぐる練習をしているから、そのうち水が好きになる。好きになったら黒尾川で、泳ぐ練習を始めるんだ。そのこと、今はみんなには内緒だけどね。三十年後、みんなに言わせてやるのさ。「ごめん。あのころ、きみにはケーキ屋がお似合いだなんて言ってしまったこと、謝るよ」なんてね。ぼくは言ってやるのさ。「これがほんとうのぼくなのです」って。もちろん、笑いながらだけどね』
 読み終わったとき、「ほんとうに謝るよ」と源治が言った。わたしたちもみんな同じ気持ちになった。
「あの子も、ここに居させてあげたかったね」と、里江が遺影を見ながら言った。
「そうだよね」
「でも、うん、警察官にはなっていなかった気がするなあ」
 信之のこの言葉から、会はふたたび上昇気流に乗った。
「常男の記録は残っていたが、おれたちの記録を復元するには、このクズと化したやつを警察庁の科学捜査班にでも回さなくちゃダメだな」
「いや武、あんたが書いた夢だったら、回さんでも分かるよ」
「えっ、おれのを覗き見たんかい? あっ、そうか。源治はカンニングが得意だったからなあ」
「アホ。だれもが知ってることだろう。お前さんの夢はミッコと結婚すること。ミッコ、ミッコ、ミッコ。鑑識に回さなくても、それしか書いてないんだから」
「いや、真実一路一直線。うん、立派なことだよ。みごと夢を叶えたんだから。けどあんた、夢は、そこに行き着きたいと思っている途中にあるものだと、うん、だれか言っとったなあ。どうかね、行き着いての感想は?」
「そんなこと、本人を前にして言えるわけないだろう」
 どっと沸く会場。七十二歳と九十歳の八人衆は、かつての秘密基地のようである。
 太洋は問われるままに海を語り、今を語った。『上越海洋こども館』は、私財のすべてを投じた私営の施設だった。
「この間、イカダも作って遊ぶとか言ってたよねえ」
「子どもたちが興味を示したもんだからね。去年はイカダで川下りもしたよ。三メートルの丸太を組んでね」
「三メートルと言ったら…」
「そう。あれと同じやつさ。川もね、黒尾川から続く千曲川。だけどね、海を目指すような無謀なことはしないよ」
「したくてもできないでしょう。今では洪水対策のダムがあったりするし」
「ダムが無くてもやらない。人間はよく『突然の荒天』なんてことを言うが、それは人間から見た天候のことさ。自然界から見たら『突然の荒天』なんてものはない。自然界からすれば、天気のどれもが自然なのさ。気象予報士だって、目先の天気を百パーセントは見抜けない。それが天気ってわけね。自信は無謀を乗り越えられない」
「ふ〜ん」と武が言っただけで、わたしらからの言葉は無かった。
 信之は、過去より未来を多く語った。
「登り続けた山だけど、頂きに着いたら、あとは降りるしかない。うん、登る時は上ばかり見ていたな。同僚と、ライバル社と、世界との競争さ。さあ、そこから降りることになって見ると、上を見てたら転んじゃうだろう。よく足元を見て降りないとね。その足元に、うん、そんな身近なところにきれいな花が咲いてたりするんだ。急ぐ者には足元の雑草は見えない。でもね、雑草って言葉、うん、名前を知らないもんだから雑草なんて言ってるけど、みんな名前があって、よく見ると驚くほど美しい花がある。ぼくはね、ようやくそれに気づいたんだ。第二の井出信之はね、うん、今生まれたばかりなんだよ。セカンド・バースディーは、心の命ずるままってこと。うんうん、楽しいんだなあ、これが。あっはっはっは…」
 信之は、綱のほどけた天馬のようだ。
 芸術大学時代の先輩と結婚した里江は、夫とともに早くに北海道に移り住み、夫婦で知床の四季を描き続けている。先日は札幌のデパートで、『知床百景おしどり展』を開いたそうだ。「主人は大自然、わたしは自然界の中で躍動する動物たちをテーマにしているから、お互いに作品への干渉は無し。まあ、いい感じってやつかな」と、トシを忘れたようにノロケている。
 翔んで、翔んで、翔んで、またたくうちの三時間だった。
 最後の言葉も早乙女先生。
「きみらはしゅごい! クライマックシュよし、エンディングよし。八つの星は、輝き続ける一等星だわ。 ありがとう! 最良の日をありがとう!」
 われらがハッカケはそう言って、歯のない顔でカッカと笑った。
 ハッカケ先生をご自宅まで送るのは光子。「きょうはお酒を飲まなくでも、充分楽しめるからね」と、好きなお酒をえんりょして、その役を買って出てくれたのだ。
「いや、しゅまんね」
 そう言って車に乗り込んだ先生に、太洋が包みを一つ差し出した。
「先生、これ、もらってもらえません? 列車の中のヒマつぶしにと思って買ったんですけど、手をつけなかったんです。これ、笹団子。お孫さんへのおみやげにどうです? それと、これは先生に。ひと缶だけなんですがね」
「笹団子か。そりゃ喜ぶなあ。エチゴビールもありがたい。わしね、地ビールのファンなんでね」
「そうでしたか。だったら、あとでケースを送りますよ。残りものだけじゃ申し訳ないから」
「それは無用だ。見ていただろうけど、今や、一度にひと缶がやっとなんでね」
 二人の会話を、わたし、武夫妻、信之の四人は、無言で聞いていた。互いに目配せをしながら…。
(あれだ!)
(富子さんじゃなかったのね!)
(あそこに…)
(ずっと来てたんだ…)
 わたしたちは、その場で何も言わなかった。それが、かれ、大島太洋に対する礼儀だと思ったからだ。
                                        (おわり)


『ナナカマドの仲間たち』……あとがき

 東京で言えば三丁目の夕日時代。
 海無し県の山間部の小さな村の小学校に、「海の男」と名乗る少年・太洋が転入して来た。彼を迎えたのは、六年生の男子五人女子二人という七人クラス。「山の男」の源治は「海の男」と名乗った太洋が気に入らない。山育ちの優位な遊びに引っ張り込んで「海の男」を屈服させてやろうと企むが、どんな奇策を弄そうとも、太洋を凌ぐことが出来ない。
 やがて太洋の人間味が見え始めると、クラス八人の中に絆が生まれる。
 八人は秘密基地を作ったり、将来の自分たちに向けての手紙を書いて地に埋めたりと、日々創造力豊かな遊びを楽しみ合う。
 ある日、台風が川の淀みに流木の山を築いた。「あれを何かに利用できないかなあ?」と考えた末、イカダ作りを思い立つ。太洋以外の七人は、まだナマの海を見たことがない。「イカダを作って川を下り、太洋が愛する海というやつを、自分たちも見てやろうぜ」というわけだ。
 イカダは完成した。川下りの本番前に「イカダの操り方を練習しよう」ということになり、沼に漕ぎ出したのだが、そこで事故が起こった。突然の山嵐イカダを転覆させたのだ。仲間の一人、村長の息子の常男が落命した。
「そんな危険な遊びを誰がさせたんだ!」の声。責任論のやり玉に上がったのは、よそ者の太洋。それを否定する子どもたちの抗議も虚しく、太洋母子は村八分に遭い、石で追われるように村を去る。大人の社会の非常識を、憎んで泣き叫ぶ六人の仲間たち。
 時は流れて六十年。あの男が、思わぬ姿で再来した。

 さて、作者であるぼく(かねこたかし)は、八つの星と同い年の現在七十二歳。道端の草むらに腰を下ろし、過ぎた道程を振り返って、「ああ、こんなに歩いて来たんだなあ」と、しみじみ懐古の世代である。
 ぼくは東京生まれだから、ヘビ捕り競争みたいな経験はない。だけど疎開時代、近くのおっさんがヘビを捕まえ輪切りにして串に刺し、焚き火で焼き上げたやつを、「ほれ、おめえも喰いな」と渡されて、それを食した経験はある。 
 疎開からの引き揚げは、昭和24年3月。信州からの引き上げ列車は蒸気機関車。おしっこがしたいのに超満員で動きがとれない。「窓からやれ」と周りの客が言うものだから、チンポを窓から突き出して、ジョジョーッ。途端に後方の客が「バカ! 顔にかかるだろう!」と叫んだっけが、蛇口は途中じゃ締まらない。「子どもの小便なんか浴びたって毒はねえ!」と、周りの客が云い返していた。
 小便のあとは網棚に乗せられた。「上の方が楽だろう」と、これも周囲の客らの配慮。ぼくは碓氷峠をハンモック気分で越えたのである。
 疎開戻りは東京大田区多摩川近くの第二京浜国道沿いの、六畳一間の掘っ立て小屋。ここに親子四人と、なぜか、母のおばの連れ合いとかいうじいさんが同居。この得体の知れないじいさんは昼間も在室。お陰で、ぼくは外遊びの王様になれた。
 近くには空襲で壊滅された工場があり、そこは格好の遊び場だった。
ガレキの中にプールがあった。何を作っていたのだろう? 溜まった雨水は淀み、そこにガマガエルが棲んでいた。
 ゲロッ? ゴエッ! ガマガエルが驚いたのは確かである。手ぬぐいとベルトで簡易ふんどしを締めた素っ裸のぼくたちが、ザブザブ踏み込み泳ぎ出したのだから。当時は小学六年だった。
 そこには爆撃をまぬがれた煙突もあった。バカは高い所へ登りたがる…の典型。遊び相手が居なかった日、ぼくは一人でそれに登った。豆の木に登るジャックのように、上を目指してヒョイヒョイ登った。
 てっぺんに着くと、いや素晴らしい。多摩川の蛇行が見えた。反対側には本門寺。五重塔がしっかり見えた。蒲田方面、下丸子方面…。知っている所であっても、それが初めて見た所のように新鮮に見えた。
 さて降りようと、下を見て驚愕。瞬時に手足が固まった。助けを呼ぶにも声が出ない。見上げて気づく人もいない。
 涙にまみれて張りつくこと一時間。夕闇が近づくと、高低感がぼやけて来た。死ぬか生きるか、怖気か勇気か。固まっていた手の指をそっと緩めてみた。開きそう。その手を梯子の一段下に移してみた。移せた! 生還への第一歩が動き出した。
 地上の人となったとき、辺りは完全な闇の中だった。
 小学校六年は大人の始まり。何でもやってみたい気が起こる。だから何でもやってみた。山にいたら、きっとイカダも作ったろう。大人と子どもの混合期。長じてからふり返れば、郷愁が山ほど集中している時期。この時期の記憶を維持出来れば、認知症にはならないと聞く。成るほどなあ…とぼくは思う。
 ナナカマドの仲間たちがあれこれやっていたことは、七十を超えたぼくたちが過去に経験した諸々のことと、それほど変わるものではないと作者は思う。
 どうですか? 丹羽君、森園君、太一君、良輔君、克行君、功君…。そして、昔は若かったはずの、かっちゃん、けいこちゃん、みゆきちゃん…。ニッポン中の同い年の全皆さん。想い出すこと山ほどでしょう?
 さて、次回の第三弾は、ガラリ一変。ぼくが生まれて初めて書き、しかもこれが最後であろう大人の女性向き作品です。題して『木馬! そして…』。これは某賞の受賞作ですので、賞の主催者が作品集としてまとめた冊子をお読みの方もおいでかも…。その方々は、しばらくの間、義理から解き放たれますので、ブログを離れて、ごゆるり『お休み』下さいませ。
 初読みの方は、それはそれで、そんなに期待なんかしなくていいですよ。期待倒れは体に悪いし、気の毒だし、あからさまに吐露されたらぼくだって落ち込むし、風の前の塵みたいな心境にはなりたくないですから。では、数日後に…。かねこたかし

(ぽつり言っちゃう道草情報)
 今年三月に発売した『かねこたかしの昭和郷愁かるた』(発行所は㈱豊島)、古希超えの同世代を中心によく売れていますよ。みんな〝郷愁〟を欲しがっているんですね。贈答品としての利用も多いようです。縁者がお世話になっている施設とか、介護業務に携わっている友人・知人へのプレゼント…といった利用ですね。認知症予防に役立つ─という『回想法』の普及にも後押しされているようです。
 見ごろ過ぎても花は花。今でしょう。喋って、笑って、輝きましょうよ、三丁目の夕日世代のご同道! ─かねこたかし。