ひとしずく。その72

 何人かと話すと、大抵一人は「最近の地球、どこか変だよね」と言う。氷床融解、干ばつ、海面上昇、洪水、山火事、ゲリラ豪雨などを指し、「いい加減にしてくれよ、地球さん」と恨みがましく言っているのだ。
 どの現象も、地球の温暖化に関係しているらしい。温暖化が進むと、今世紀末には大気中の水蒸気の量が5〜25%増えて、雨はいよいよ強く、豪雨の頻度も増すと予測されているそうだ。
 そうしたことに対するため、イギリスには、5年ごとに温暖化のリスクを評価し、そのリスクに対応するための国家適応計画を見直す制度があるのだそうだ。アメリカには、4年に一度、気象変動による環境や健康に対する影響を議会に報告する仕組みがあるそうだ。
 ところが日本には、そうしたリスクを化学的に評価して政策に反映させるシステムがないのだとか。いかにも政局に明け暮れる日本政界らしいと思う。
 でもね、僕が思うに、英米だって大したことはない。温暖化による悪影響を抑制しようとはしているが、温暖化を招いているそのものを「正そう」とも「質そう」ともしていないからね。
 モノにはすべて寸法があって、その寸法を使い果たしたら、そこで寸法は終わる。だからして、政治屋に任せておけばいい問題ではない。「最近の地球、どこか変だね」なんて暢気なこと言っている場合ではない…と思うんですけど…僕。
 そこで今日のひとしずく
『生態系が受け入れられる気温の限界というものがあることを、〝北限の温泉猿〟の話題なんかと一緒にして笑っている場合ではない─と知るべし』