ひとしずく。その71

 スコットランドの独立を問う住民投票が来週木曜日(9/18)に予定されている。スコットランドは、イギリス全土の三分の一、北海道ほどの面積に530万人が暮らす。『アニーローリー』『故郷の空』『蛍の光』など、僕たちに馴染み多い曲の生まれ故郷である。
 その地に独立機運が高まり、賛否を問うべく住民投票話が持ち上がって、政府はそれを容認した。実現すれば、イギリス本体としては穏やか成らざる話である。でもイギリスは、それを問う住民投票を容認した。
 当初政府は「独立賛成派の勝利はあり得ない」と見ていた。だから容認したと思う。ところが流れが変わった。「脱英国」が現実味を帯びて来た。ここにきてイギリスは慌てている。
 読み違いがあったにせよ、僕は住民投票を容認したイギリスは立派だと思う。キャメロン首相の爪の垢を、頑なな国の指導者たちに飲ませたいとも思う。特にチベットウイグルを抱える中国の指導者たちにはね。
 ホモサピエンスとしての歴史が長かろうと、個々人の寿命が百歳を超えるということは稀である。たかだか百年の寿命。なればその短い期間(?)の人生を、互いが尊重し合い、友好ムードの中で終わらせたい。例えば、小さな部分の領有権を問題としたいなら、争うのではなく、真摯に向き合って話し合えばいいと思う。
 僕個人に領有権問題は存在しないが、僕には昔から(恐らく小学生の頃からの)一貫した思いがある。『去るを追わず、寄るを拒まず』の精神だ。この精神を、僕は何人にも当てはめている。気が合わなくなった友は去って行ったし、友好を求める友とはその輪を広げている。今も。
 国とて同じであっていいと思う。去る者を追ってはいけない。ただ見送ればいい。寄る者には友好であっていい。手を差し伸べて迎えればいい。
 そこで今日のひとしずく。今日はこれしかない。
『去るを追うな。寄るを拒むな』