2015-07-02から1日間の記事一覧

小説『木馬! そして…』14.

美佐江の退院から十日ほどが過ぎたころ、佐代は美佐江の手を引いて、幸子がまだ居るかも知れない病院を訪れた。 受付窓口に向かう途中で声が掛った。 「あら〜あ、古澤さんじゃない」 走り寄って来たのは看護婦の山田良子だ。 「ああ、ご無沙汰しています」 …

小説『木馬! そして…』13.

8.謝罪とお礼 幸子の大切な木馬を盗んだことで、佐代の胸に針が刺さった。幸子の顔を見るたびに、刺さった針が意識のツボをギリギリ責める。 (痛い! 苦しい!) あまりの痛みに堪えかねて、佐代は病院のパートを辞めた。 そうなることは自明の理。判り切…